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代表の山田です。

ここまでの活動について、一区切りとしての話をさせていただきます。少々長いですが、おつきあいくださいませ。

田嶋専務理事に署名を手渡す

昨年の11月から12月にかけて、皆さんの協力で集めた”Jリーグ冬開催反対”の署名5万5111筆を、2月26日(木曜日)日本サッカー協会に届けてきました。犬飼会長は多忙のためお会いすることができませんでしたが、代理として田嶋専務理事と面会し、直接手渡しが実現できました。田嶋専務理事には忙しい中を時間をさいていただき、深く感謝します。ありがとうございました。

当日は新潟から参加した私のほか札幌サポーターも同席。マスコミ関係者約40名の前で田嶋専務理事に署名を渡し、その後約30分間私たちの思いを訴えてきました。
「将来の夢が見える改革なら我慢もするし努力もする。しかし冬のリーグ開催は雪国にとってデメリットしか思い浮かばない計画だ。夢の見えない計画には到底賛成できない」 それが私の訴えた内容でした。

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3月2日、日本サッカー協会の特別委員会でもある将来構想委員会はJリーグの秋春制導入の結論を、Jリーグチェアマンでもある鬼武健二委員長に一任すると発表。各所から話をうかがったところでは、当初協会側はここまで大きな反対が起こるとは想定していなかったと思わせるものがありました。

そして3月9日、東京都内で常務理事会が開かれました。Jリーグ将来構想委員会の委員長を務める鬼武健二副会長はJリーグ各クラブの経営面にマイナスの影響を与えるとして、秋春シーズン制移行を見送ることを発表しました。

これで一区切りがついた。そう思った翌10日、犬飼会長は ”審議が十分になされたとはとうてい思えない”として、日本協会内に新しく組織を立ち上げ、秋春制についての検討を続けていくことを明らかにしました。さらに署名提出の際にお願いしていた、公開タウンミーティングの開催についても 「どんな議論をしているかの情報が伝わっておらず、パッと変えるように思われている中で、そのようなことをするつもりは全くない」(ひかりTV × 週刊サッカーマガジン の10日記事から引用)ときっぱり拒否したのです。

これまで犬飼会長は各種メディアにおいて、シーズン移行に賛成する選手や関係者らの意見はしきりに引用してきました。さらに夏の観戦によるサポーターの熱中症、ゲリラ豪雨、落雷の危険性を心配する発言も多くしてきました。もちろん賛成意見に耳を傾けることは良いことだと思います。しかしその一方、降雪地の過酷さを訴えるサポーターの声や、Jクラブらが具体的数値をあげて経営的困難さを訴えた意見には耳を閉ざし、”十分に議論されているように思えない”という理由から反故にした今回の結果に、正直なところ怒りを禁じ得ません。

日本サッカー協会にあらためてお願いがあります。
まず今回の私たちの署名と意見提出について、犬飼会長がどのような感想をもったかをお聞きしたいと思います。そして引き続き、積雪地域での意見交換会を開催するよう希望します。

そしてもうひとつ。
今後新しく作られるという委員会の人事と議論が、美しいピッチ上で繰り広げられるサッカーのように、フェアであることを願います。

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ここまでの活動を振り返ります。

今回の署名活動を通じて痛烈に感じたことは、中央と地方との意識のギャップでした。ネットなどを通じて「雪国のエゴではないか」という意見も多くいただきましたし、26日の記者会見では、それに近い質問を記者の方からも受けました。

“そちらは夏が涼しいからいいかもしれないが”という誤解に基づく(※)言葉も含め、気候の差を理解してもらうのは簡単なことではないと、問題の深さを改めて知った気がします。(※たとえば新潟を含む北陸地域や山形などの夏は関東圏と変わらないくらいに暑いです。気象データを確認ください)

「日本サッカー発展のための改革」という課題は、もちろん積雪地の私たちも考えるべき問題です。今回直接にお話することはできませんでしたが、いろいろな方からうかがった話では、犬飼会長は心からサッカーを愛し、日本サッカーをより活性化させる方法を真剣に考えておられます。今回の運動に関わったことで、その部分を深く理解しました。

しかし気候の問題は人間が容易に解決できることではありません。一部地域のみ (※といっても豪雪地帯に指定されているのは日本国土の約50%です) が一方的に不利になる改革ならば、当然これを受け入れるわけにはいきません。

“愛するクラブと地域を守りたい” 私たちの行動は純粋にそこから始まっています。その気持ちに地域差は無いはずです。シーズン移行に賛成するサポーターも、またメディアで秋春制賛成論を展開するジャーナリストの方々にも、その部分は理解していただきたいと思います。

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最後に、いささか個人的な感想も聞いてください。

署名を集めている最中、一番印象的だったのはスタジアム前でお会いした、車椅子に乗った85歳の女性でした。同伴していた娘さんの話によると、普段は無口だがアルビレックス新潟の試合に行くときには元気になるとのこと。しかし、もしも冬の試合となると、たとえ施設が冬用に整備されたとしても、体力的に母の観戦は不可能になってしまう。絶対に冬のリーグ開催はやめてほしいと、強く訴えるように話していました。「大丈夫、絶対に阻止します」と約束したのを覚えています。

昨年夏、Web署名から立ち上げた今回の活動でした。後から妻に聞いたのですが、就寝中に署名提出が遅れる夢を見ていたのか、うなされていたこともあったようです。11月から自筆の署名を開始したものの、公式な団体のバックアップを持たず、頼りは賛同してくれるサポーターひとりひとりの職場や学校などでの呼びかけのみ。しかも実質一ヶ月の活動期間です。

今回の約5万5千という署名数が多いのか少ないのか、そしてJリーグを動かす力になったのかどうか、正直なところ自信がありません。しかし、多くの人の賛同と協力があったからこそ、ここまでの形にできたことも事実です。
Jリーグ発足後何度も秋春制移行は課題として上がってきましたが、そのたびになんとなく立ち消えて行きました。今回ほど明確にNO!という意見を形にしたことは無かったと思います。この事実を作ったことは、大きな成果だと確信しています。

あらためて皆さんに感謝の言葉を述べさせていただきます、ありがとうございました。ひとまずの区切りとしてここに報告させていただきます。

冬開催に反対するJリーグサポーター有志の会
代表 山田剛弘