Ｊリーグ冬期開催計画に強く反対します

冬開催に反対するＪリーグサポーター有志の会
代表　山田　剛弘(アルビレックス新潟サポーター)
メール: akiharuseihantai@yahoo.co.jp

日本サッカー協会(会長、犬飼基昭)は現在、Ｊリーグシーズンの移行を狙いとした話し合いを進めています。これはＪリーグ発足当時から今まで続けてきた、春に始まり秋に終わるリーグ期間を、冬を挟むシーズンへと移行する計画です。　協会とＪリーグ側は話し合いをしている段階であり、具体的な新シーズンなどは未定ですが、計画の中には冬の試合開催も視野に含まれています。

しかし冬のリーグ開催は、日本国土の約半分を占める降雪地に対して一方的ハンデを背負わせるものです。　試合場とその周辺の除雪は当然のこと、厳しい冬の中での観客数確保など、クラブにとって財政上の負担が増えるのは確実です。

問題は試合だけではありません。　雪と風が横殴りにたたきつける状況下で強いられる練習は困難で、確実にチームを弱体化させます。　過酷な練習環境は、クラブの選手獲得にとっても大きな足かせとなります。　結果として冬期開催は、降雪地クラブに対する死刑宣告にも等しいのです。　人の工夫や努力とは別次元の条件を強制されるのは、納得ができません。

1月末の屋根付きサッカー練習場光景　(新潟駅近くにて)

降雪地が抱える問題に対し、日本サッカー協会会長の犬飼基昭氏は、「冬が問題となるクラブは、1，2月の試合をすべて(温暖な)アウェーでやればよい」「試合場を人工芝にすればよい」などと発言していますが、どれも不公平さを増すだけで問題の解決にはなりません。　また、「試合会場の暖房機器設置を自治体に訴えていく」「屋根付き練習場建設には協会から補助金を出すことも考慮する」という同氏の発言も裏付けがなく、信じるにはあまりに根拠の薄いものです。

※国土交通省のホームページ　　豪雪地帯対策の推進によると、豪雪地帯・特別豪雪地帯に指定されているのは国土の約50.8％、日本人口の16.1％を占めています。

他、全国各地の積雪量などについてはこちらをご覧ください。

Ｊリーグには百年構想という理念があり、公式サイトにはこのように記されています。

あなたの町に、緑の芝生におおわれた広場やスポーツ施設をつくること。

サッカーに限らず、あなたがやりたい競技を楽しめるスポーツクラブをつくること。

「観る」「する」「参加する」。スポーツを通して世代を超えた触れ合いの輪を広げること。

この理念に基づいた結果、発足当時10クラブだったＪリーグは、2008年現在、加盟33クラブ、準加盟5クラブへと成長しました。　北海道から沖縄まで、Ｊクラブと、Ｊを目指すクラブが続々と誕生しています。さらに百年構想はサッカーに限らず、天然芝運動場や公園の建設の他、各種スポーツを「観る」「する」「参加する」という環境を全国に生み出しました。

これらの成果は、旧来のような大企業出資に依存する都市部中心のプロスポーツを目指すのでなく、　『「地域に根ざしたスポーツクラブ」を核としたスポーツ文化の振興活動に取り組んで』　(※Ｊ公式サイトより引用)　きたからこそ、もたらされたのです。

冬のリーグ開催は、降雪地域のクラブとサッカーファンを切り捨てる行為であり、これまで育ててきた「地域に根ざしたスポーツクラブ」というＪリーグの理念を根底から覆すものです。　私たちは愛するチームを守るため、そして全国のさまざまな地域に住むサッカーとスポーツを愛する人のために、地域差を無視した冬のリーグ開催に強く反対します。

「私たちの地域を、そして、私たちが愛するクラブを、どうか切り捨てないでほしい！」　これは、雪国に住むクラブとサポーターの切実な叫びなのです。　日本サッカー協会とＪリーグは、どうかその声に耳を傾けてください。